大神異見聞録・本文
神代の章・第零話「原初の刻」
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………。
………。
………。
ボクは?
ココは?
……ああ、そうか。
ここは『宇宙』だ。
僕たちの世界が生まれる基盤だ。
混沌で、何もなくて。
………。
ふむ、困ったな。
僕一人でどうにかなるものでもないのか。
…へぇ、なかなか…
面白いな、この世界は。
『宇』と『宙』では性質が違うのか。
ならば分けてみよう。
何か新しいものが生まれるかもしれない。
さぁ、生まれておいで。
『ボク』で世界を創造しておくれ。
ボクはこの混沌に融けて『原初の種』となり世界の礎となろう。
そして脈動し続ける。
ボクの鼓動は小さな波になって世界に響くだろう。
その波はやがて重なり、交わり『音』となる。
そしてさらに音は音と交わり世界を紡ぐ『詩』となるだろう。
祷りの力が波となって世界を優しく包む。
塵が集まり、導かれ、想いが集結してゆく…。
ああ、創造とはなんと素晴らしいことか。
さあボクの想いよ、願いよ、魂よ。
すべての根源となれ。
『ハジマリの元素にして無二の元素』を君たち二人で分かち合い育むといい。
見守っているよ、ずっと。
ずうっとね…。